新しい年が明けて少し経ったこの時期は年末年始の慌しさがたたってか、身体が疲れやすい時期でもあります。そんな時、私は大の甘党ということもあり、疲れた身体に甘いものが欲しくなってきます。和菓子、洋菓子、中華菓子と好きな甘いものをあげるときりがありませんが、普段は甘いものという和菓子、特にお饅頭をよく食べます。そしてそのお饅頭ですが、じつは奈良と深い関係があることをご存知でしょうか。

 お饅頭と一口にいってもその種類は多様で、中身の餡の種類にしても黒餡、白餡、えんどう餡、金時餡、うずら豆餡といろいろとあります。この「餡」という言葉ですが、「餡」とは、もともと米粉や麦粉を練ったものの中に「つめるもの」のことを指しました。餡の発祥の地である中国では肉をつめていたのですが、1350年に中国から日本に来た林浄因(りん・じょういん)という方が、宗教上の関係で肉をさけて小豆を使い、小麦粉で作った皮に包んで蒸し上げたものを現在の奈良市漢国町で作ったことで、私達が現在イメージするお饅頭の元が出来上がったのです。
 小麦を蒸しあげたことによってお饅頭の皮はふわっと柔らかくなり、その熱によって餡の甘味も増し、口当たりもとてもよい感じになるので、当時の人たちも「美味しい!」と感じたと思います。美味しいものとなると世の中に広まっていくのは速く、いろいろな人たちが林浄因作のお饅頭を食べ、また、自分でも作ったりして、人に食べてもらったりしながら、日本中に広まっていったと思います。

 お饅頭の元となった肉餡を考えた人、その肉餡を元にお饅頭を考えた人、お饅頭を食べる人、お饅頭を食べて自分でも作ってみようとした人、作ったものを人にプレゼントしようとした人、いろいろな人の思いを乗せてお饅頭という食べ物は日本国内に拡がり、日本の和菓子として定着していきました。
 新年の「初」饅頭時には、そんなお饅頭と奈良とのつながりに思いを馳せながら食してみてはいかがでしょうか。

『なら食』研究会副代表 片上敏喜