以前、奈良県内の原木椎茸を栽培しておられる農家の方から椎茸の栽培についていろいろとお話をお伺いする機会がありました。皆様もご存知のとおり、原木で作る椎茸は、ナラやクヌギの木などに均等な間隔で穴を開けていき、原木に植えやすい様に弾のような形に固められた椎茸菌を植えてつけて栽培されます。そうした原木椎茸づくりのお話を聞かせて頂く中で関心をもたせて頂いたのは、原木栽培の椎茸でもその栽培過程によって、出来上がりに大きな差があるいうことです。特に椎茸菌が育ちやすいように原木をホダ木(菌が良くまわった状態の木)にするまでの方法の違いに関心を寄せました。

 現在、一般的にホダ木にするのには、10ヶ月ほどで完成しますが、以前は、山の中でゆっくりと2年ほどの時間をかけてホダ木にしていたといいます。そうしてできたホダ木からできる椎茸は、とても肉厚で美味しい椎茸がたくさんできるとのこと。もちろん、10ヶ月ほどでつくるホダ木からも美味しい椎茸は作れます。しかし、椎茸農家の方からみれば、良い椎茸ができる発生率が10ヶ月のホダ木と2年のホダ木では決定的に異なるというのです。

 良い椎茸は数が少なくとも質がいい分、価値が高くなります。そうして、昔の原木椎茸は、一本のホダ木に発生する数こそ少ないものの、単価が高かったのですが、現在は、量とスピードが求められ、なるべく短い期間に多くの椎茸が発生することが原木しいたけにも求められています。時間をしっかりとかけると美味しい椎茸ができやすいのですが、そうした時間をなかなかかけづらい背景が私達の生活にあるのでしょうか。

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