以前、奈良に観光に訪れた人々に対して、奈良の食の文化に興味が持っているということの調査を行った折、八割の人々が興味をもっているという回答を得たことがあり、奈良の食の文化に興味や関心をもっている方々が多いということを実感しました。
 奈良の食の文化というと、従来まではよいイメージで捉えている人は少ない印象もありますが、歴史的にみても奈良は日本を代表する食が根付き、充足し、発展した地であるということは推測に難くないことだと思われます。

 そのような奈良の食の文化の基盤を引き継ぎ、現在、私たちが実際に味わえる形として、日々、生産しているのが、奈良の「地場の食産業」です。私達が良く知る柿の葉寿司や茶粥はもとより、葛、茶、醤油、酢、酒、味醂、味噌といった日本人ならだれしも馴染みの深いものが、現在の奈良の地場の食産業として脈々と息づいています。またこうした地場の食産業の共通点は、冬・夏時期を中心として、自然との関係を保ちながら醸造、製造しているものが多いということもいえます。
 
 それらの生産プロセスは、当会で実際に体験型学習ツアーとして現場に訪れた折に、生産現場の迫力、見応えを皆さんと共に肌で体感しています。しかしながら、一般的にはこうした地場の食産業の生産現場というのは、なかなか見る機会は少ないのが現状です。これまで奈良の地場の食産業者の方々は、観光者(消費者)に「みせる」という意識を持ちにくい環境もあったように思われます。
 
 地場の食産業が観光の対象となることは、奈良の食の文化をよりよく知る機会が増え、観光者にとっては食を味わえる楽しみ、食に対する学びが生まれ、地場の食産業者にとっては、より多くの人々に食してもらえるという機会の増大になるのではないでしょうか。そうして互いに富める関係を創り、発展・充足してゆくことは、奈良の食と観光を豊かにしていくことにつながると思います。
 
 NPO『なら食』研究会は、奈良の食産業と観光産業をつなぎ、お互いを豊かにできればと活動にまい進しております(その成果の一端につきましては、こちらをご覧下さいませ☆)

※『なら食』研究会会員コラムは、当会員が奈良を中心として、食と様々な事象を紡ぎ発信したものをネット上で発信してゆくコーナーです☆